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2025年3月28日
皆さん、こんにちは。開業準備の日々は多忙ですが、充実した毎日を過ごしています。
医療資材の選定、スタッフの採用、そして医薬品の仕入れ先との契約など、様々な準備を進める中で、ある出来事が私の心に強く残りました。先日、医薬品卸業者の方との打ち合わせの際、「美容医療への医薬品提供は…」と少し遠慮がちに言われた言葉が、過去の大切な患者さんとの思い出を呼び起こしたのです。
美容医療という分野には様々な見方があることを理解しています。しかし、美容医療は単なる「見た目の改善」を超えた価値を持っています。今回は、私がこの道を選んだ理由と、美容医療が持つ心理的な癒しの力について、実際の経験を通して共有したいと思います。
数年前のことです。60代の女性の患者さんが初めて診察室に入ってこられました。長年連れ添った旦那さんを突然失い、深い喪失感の中にありました。「何をする気も起きない」と生気を失っていました。
精神科での治療も続けていましたが、なかなか前に進めない日々ので「何か変化が欲しい」ということで、クリニックを受診されました。
私たちは丁寧なカウンセリングの後、患者さんに合った施術プランを提案しました。決して劇的な変化を約束するものではなく、少しずつ自分を取り戻していくための一歩です。
施術を重ねるうちに、患者さんの表情に変化が現れ始めました。ある日、久しぶりの施術の際に
「先生、少し前の自分に戻れたような気がするんです。おかげさまで元気になれました。」と言われました。
その言葉に込められた意味の重さを、私は強く感じました。この患者さんはその後も定期的に通院されるようになり、少しずつ外出する機会も増え、社会とのつながりを取り戻していかれました。
美容医療は時に「必要のない医療」「見た目だけの医療」と誤解されることがあります。しかし、私たちの外見は自己認識や自信、社会との関わり方に大きく影響します。
心と体は密接につながっています。外見の変化が自己肯定感を高め、それが行動変容につながり、社会参加を促し、最終的には精神的な健康にも良い影響を与えることは、多くの研究でも示唆されています。
もちろん、美容医療には適切な倫理観と医学的根拠に基づいたアプローチが不可欠です。過剰な施術や非現実的な期待を煽るようなことは決してあってはなりません。
医療の目的は「治す」だけではありません。病気の治療と同様に、人生の質を高め、自分らしく生きるための支援もまた、医療の大切な役割だと私は考えています。
あの時の患者さんはこのことを再確認させてくれました。
新たなスタートに向けて
現在、クリニック開業に向けて様々な準備を進める中で、改めてこの経験の意味を噛みしめました。
美容医療を取り巻く様々な見方があることは承知しています。時に誤解を受けることもあるでしょう。しかし、この分野にも深い医学的意義と社会的価値があることを、私は自信を持って伝えていきたいと思います。
新しいクリニックでも、目の前の患者さんの「外見」だけでなく「心」にも寄り添いながら、美容医療という選択肢を通じて、一人ひとりの人生に小さな光を灯せるよう努めていきます。
クララ美容皮膚科福岡天神院院長 佐藤翔生
経歴
資格・所属学会